鉄スクラップ価格から見る『今の日本の景気』

鉄スクラップ相場

こんにちは。
鉄スクラップの営業をやっている者です。今日は、鉄スクラップの値段から、いまの日本の景気がどんな状態なのかを、できるだけやさしくお話しします。

鉄スクラップは、よく**「産業の米」**と言われます。
お米が毎日のごはんに欠かせないように、鉄スクラップは、建物・車・家電・機械など、あらゆる産業の材料になります。
だから、この値段を見ると「日本の景気の体温」がだいたい分かるんです。


最新の東京製鉄の価格はどう動いたか?

まずは事実からです。

2025年12月25日時点で、東京製鉄・岡山工場
特級(H2)スクラップ価格は44,000円/トン

これは、

  • 11月20日のピーク:44,500円
    から、500円下がった水準です。

過去1か月の流れをざっくり言うと

  • 11月中旬まで
    円安(1ドル=157円台)が続き、
    「海外に持っていかれないように」価格は上昇。
  • 11月20日以降
    値上げを一旦止めて、
    市場の様子を見る「模様眺め」。
  • 12月現在
    円安が少し修正され(156円台前半)、
    海外の需要も弱く、
    横ばい〜少し弱い動きになっています。

👉 大きく下げたわけではないが、強さもない
これが、いまの正直な状態です。


なぜ今、為替や世界情勢がスクラップに関係するのか?

ここは中学生でも分かるように、3つだけ。

① 円安=「海外から買いたい!」が増える

鉄スクラップは世界で売り買いされます。
円安になると、海外の人から見ると

「日本のスクラップ、安いじゃん」

となります。

すると、日本のスクラップが海外に流れてしまう。
それを防ぐために、東京製鉄は

「国内でちゃんと高く買うよ」

と価格を上げます。


② 円高になると、値下げしやすくなる

逆に円高になると、海外に売っても儲かりにくくなります。

そうすると、

  • 国内にスクラップが残りやすい
  • メーカー同士の取り合いが弱くなる

結果として、買値は下げやすくなる

最近の500円下落は、まさにこの動きです。


③ 金利の差が、円とスクラップを動かす

ちょっとだけ大人の話。

  • 日本:金利を少しずつ上げ始めている
  • アメリカ:今後、金利を下げそう

この差が縮むと、円高になりやすい

円高になる
→ 輸出が弱くなる
→ スクラップ価格が下がりやすい

こうつながります。


たとえ話で言うと…

スクラップ市場は、

  • 日本のデパート(東京製鉄)
  • 海外のネット通販(輸出)

の競争です。

円安のときは
👉 海外通販が大セール中
👉 デパートも「高く買うよ!」と対抗

円高になると
👉 セール終了
👉 デパートも「そこまで出さなくていいかな」

という感じです。


まとめ:これから景気はどうなりそうか?

結論をシンプルに言います。

  • スクラップ価格は、天井感が出てきている
  • 円高方向が続けば、じわっと下げる可能性
  • ただし、大崩れするほど悪くはない

つまり、

「景気は悪化していないが、勢いもない」

これが、鉄スクラップから見た今の日本です。


現場を長年、見てきた一言

正直に言うと、
スクラップが本当に強い時は、理由なんていらないんです。
「モノが足りない」「とにかく欲しい」
それだけで値段が上がります。

いまは、

  • 為替
  • 海外情勢
  • 金利

こうした理屈の話が多い
これは、景気が踊り場にいるサインでもあります。

投資を始めたばかりの方も、
ニュースを見るときに
「スクラップ、どうかな?」
と一度思い出してみてください。

それだけで、景気の見え方が少し変わります。


趣味でキャンプをしています。

その際に電源サイトじゃないキャンプ場では重宝しているポータブルバッテリーです。↓


コメント

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